ワインラベル写真からワイン検索ができる「フォトナビ・ワイン」サービスの準備の時期、ワイン業界のプロの方のテイスティングに参加させて頂いた時のこと・・・
見た目は普通の白ワインなんですが、飲むと炭酸飲料を飲んだときのように舌がピリピリする感じがしたので「これって多少スパークリングですかね?」とたずねると、「いやいや、それは酸味の一種だよ」・・・
酸味と言えば、すっぱいとばかり思っていましたがそうではない酸味もあることを初めて知りました。
驚いたのはそれだけではありません。
赤ワインに多く含まれるタンニン・・・シブ柿を食べた時の渋い味に似ていますが、タンニンによる渋みは「味覚」ではなく「刺激」だそうです。確かに、ワインを口に含んで歯茎と唇の間にしばらく溜めていると、歯茎がキクキクする独特な渋みが残り、味覚を感じないはずの歯茎で感じていることで「味覚」ではないことががわかります。
舌で感じる味覚は、甘味、酸味、塩味、苦味、日本人が定義した旨味の5つが世界的な基本だそうです。これらに加えて、辛味や渋味などの刺激による感覚も含めて、我々が普段使っている一般的な意味での「味」になるようです。
そういえば、ワサビの刺激は脳で感じるとも言われていて、ワサビを辛いと言う人もいますが私は多めのワサビを口にしてしまったとき辛いと言った記憶がありません・・・何と言っているのでしょうか?・・・「うっっ!」でしょうか?
一般的に言う「味」は舌で感じる味覚や刺激だけでは到底説明できない複雑なもののようです。
「味」に関わる別の重要な要素が香りです。
グラスに注がれたワインの香りと、飲んだ後に口から鼻に抜けるときの香りと2種類あり、意識するとこの2種類の香りが驚くほど違うんです。
例えば、飲む前にグラスに鼻を近づけたときは、雨の日の馬小屋を連想させるような土臭いというか草の匂いがしてたのに、飲んだ後の香りはさわやかな高原の広大な花畑にでも来ているようなまろやかな心地よい果実の香りがするのです。
普段の食事も同様に、香りは美味しさの重要な要素です。
「味」を左右する要素として、味覚と香りの他にも更に、料理の温度・見た目の美しさ・食する環境・その時の気分などがあると思います。
前に行ったレストランがとても美味しかったのでもう一回行ってみたら、こんどは思ったほど美味しくなかった・・・なんて経験ありませんか?
コストダウンで食材が変ったのかもしれませんし、シェフが変ったのかもしれません・・・が、ほとんどの場合はその時の気分や一緒に食事した人の違いが影響していると私は思います。
仕事が一区切りついた後の気を使わない仲間との食事は美味しく感じるものです。
「勝利の美酒」とはよく言ったもので、同じビールなのに試合に勝った後に飲む冷えたビールは格別です。
美味しく感じるには、レストランの窓からの景色、照明、インテリアなどの雰囲気も重要ですし、フロアーの人達の接客態度も「味」に大きく影響すると思います。
「味」の半分は食する環境によって決まると聞いたことがあります・・・全くその通りです。
その中でも、私は、「誰」と食事するか・・・が一番「味」に影響する要素だと思うのです。
夏休みに家族旅行先の宿で食べたしゃぶしゃぶ・・・ワイン好きの友人と飲むワイン・・・残業後に同僚と行ったラーメン餃子ビール・・・初めてのデートで食べたソフトクリーム・・・
物理的に考えれば、誰とどこで食べても、同じ料理だったら味覚や香りはそんなに大きくは変らないはずです・・・が、実際に感じる「味」は大違いだったりします。
皆さんも必ず経験があるはずです。
「味」=「味覚」+「刺激」+「香り」+「見た目」+「温度」+「雰囲気」+「接客態度」+『誰』+?
「味」は不思議です。